敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
――陛下と、少し距離が縮まった気がしたのに……。
あれは舞踏会だから?
周囲の目を誤魔化すために、仲が良いふりをしてくださっただけ?
それに、フレドリック様が現れた途端、陛下のご機嫌が……。
仲が良くないのかしら……?
考えはまとまらないまま、慣れない舞踏会の疲れに引きずられ、ユリアは眠りに落ちていった。
エルフナルドは自室とは違う廊下を進んでいる途中、令嬢に呼び止められた。
「エルフナルド様。今夜、もしお暇でしたら……」
そう言って、女はためらいなく彼の腕に絡みつく。
「……今夜は気が立っている。優しくできる気がしない」
苛立ちを隠さず、低く告げる。
「あら……乱暴なのも、嫌いじゃありませんわ」
女は笑みを浮かべ、そのまま唇を寄せた。
エルフナルドは応じるでも拒むでもなく、ただ客間へと足を向けた。
――情事の後。
ベッドに腰掛け、窓の外を眺めながら、エルフナルドは無言で考え込んでいた。
脳裏に浮かぶのは、舞踏会で見たユリアの表情ばかり。
視線を向けた時の緊張した顔。
音楽に身を委ね、楽しそうに笑った横顔。
腕を離した瞬間、わずかに滲んだ寂しそうな瞳。
――……くだらない。
どうして、あの女の顔ばかり浮かぶ。
エルフナルドは、強く眉を寄せた。
――あれはただの形式だ。
周囲に疑われないための見せかけの舞踏会。
あいつは、兄を殺した国の女だ。
俺が惹かれるはずがない。
視線を伏せ、吐き捨てるように心中で続ける。
――早く、第2夫人に相応しい女を見つけなければならない。
……あいつではない、誰かを。
そう思いながらも、脳裏から消えない笑顔に、エルフナルドは再び眉を寄せた。
あれは舞踏会だから?
周囲の目を誤魔化すために、仲が良いふりをしてくださっただけ?
それに、フレドリック様が現れた途端、陛下のご機嫌が……。
仲が良くないのかしら……?
考えはまとまらないまま、慣れない舞踏会の疲れに引きずられ、ユリアは眠りに落ちていった。
エルフナルドは自室とは違う廊下を進んでいる途中、令嬢に呼び止められた。
「エルフナルド様。今夜、もしお暇でしたら……」
そう言って、女はためらいなく彼の腕に絡みつく。
「……今夜は気が立っている。優しくできる気がしない」
苛立ちを隠さず、低く告げる。
「あら……乱暴なのも、嫌いじゃありませんわ」
女は笑みを浮かべ、そのまま唇を寄せた。
エルフナルドは応じるでも拒むでもなく、ただ客間へと足を向けた。
――情事の後。
ベッドに腰掛け、窓の外を眺めながら、エルフナルドは無言で考え込んでいた。
脳裏に浮かぶのは、舞踏会で見たユリアの表情ばかり。
視線を向けた時の緊張した顔。
音楽に身を委ね、楽しそうに笑った横顔。
腕を離した瞬間、わずかに滲んだ寂しそうな瞳。
――……くだらない。
どうして、あの女の顔ばかり浮かぶ。
エルフナルドは、強く眉を寄せた。
――あれはただの形式だ。
周囲に疑われないための見せかけの舞踏会。
あいつは、兄を殺した国の女だ。
俺が惹かれるはずがない。
視線を伏せ、吐き捨てるように心中で続ける。
――早く、第2夫人に相応しい女を見つけなければならない。
……あいつではない、誰かを。
そう思いながらも、脳裏から消えない笑顔に、エルフナルドは再び眉を寄せた。