敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
その最中、血相を変えたクリックが走って戻ってくるのが見えた。
「何があったのですか!?」
「見知らぬ男に襲われました。アリシアが私を庇って……怪我を……! 近くにお医者様はいらっしゃいますか?」
「市場を出てすぐの所に医局があります。急ぎましょう!」
クリックはアリシアを抱え上げ、医局へと急いだ。
幸いにもすぐに医者に診てもらうことができ、ユリアは固唾を呑んでその様子を見守っていた。
「傷は思ったほど深くありません。ご安心ください。それに……応急処置がお見事ですね。傷の場所が悪かった分、対処が早くて助かりました」
医者の言葉に、ユリアとクリックは同時にほっと息を吐いた。
治療を終えたアリシアは、医者に礼を述べた後、ユリアとクリックに向き直って頭を下げた。
「ユリア様、申し訳ありませんでした。それから……手当てをしてくださって、ありがとうございました。クリック様も、ここまで運んでくださって感謝いたします」
「アリシアが謝ることじゃないわ。あなたは私を庇ってくれたのよ……痛かったでしょう? 本当に、ごめんなさい……」
「ユリア様こそ、どうか謝らないでください。悪いのは襲ってきた男です」
そう言われ、ユリアは「ありがとう……」と小さく呟き、無理に笑みを作った。
王宮へ戻る馬車の中で、ユリアはずっと考え込んでいた。
――あの男……本当に私を狙っていたのかしら。
最初からアリシアを狙っていたようにも見えたけど……。
でも、だとしたら……どうして?
嫌な汗が、ゆっくりと額を伝った。
――……考えすぎよ。きっと、偶然よ。
だが、ユリアの心に小さな疑念が芽生えていた。
「何があったのですか!?」
「見知らぬ男に襲われました。アリシアが私を庇って……怪我を……! 近くにお医者様はいらっしゃいますか?」
「市場を出てすぐの所に医局があります。急ぎましょう!」
クリックはアリシアを抱え上げ、医局へと急いだ。
幸いにもすぐに医者に診てもらうことができ、ユリアは固唾を呑んでその様子を見守っていた。
「傷は思ったほど深くありません。ご安心ください。それに……応急処置がお見事ですね。傷の場所が悪かった分、対処が早くて助かりました」
医者の言葉に、ユリアとクリックは同時にほっと息を吐いた。
治療を終えたアリシアは、医者に礼を述べた後、ユリアとクリックに向き直って頭を下げた。
「ユリア様、申し訳ありませんでした。それから……手当てをしてくださって、ありがとうございました。クリック様も、ここまで運んでくださって感謝いたします」
「アリシアが謝ることじゃないわ。あなたは私を庇ってくれたのよ……痛かったでしょう? 本当に、ごめんなさい……」
「ユリア様こそ、どうか謝らないでください。悪いのは襲ってきた男です」
そう言われ、ユリアは「ありがとう……」と小さく呟き、無理に笑みを作った。
王宮へ戻る馬車の中で、ユリアはずっと考え込んでいた。
――あの男……本当に私を狙っていたのかしら。
最初からアリシアを狙っていたようにも見えたけど……。
でも、だとしたら……どうして?
嫌な汗が、ゆっくりと額を伝った。
――……考えすぎよ。きっと、偶然よ。
だが、ユリアの心に小さな疑念が芽生えていた。