敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
晩餐会の後、ユリアの部屋に戻る気になれず、エルフナルドはサリトスの部屋を訪れた。
サリトスが扉を開けると、エルフナルドの険しい表情を見てすぐに察したように肩をすくめた。
「……随分と苛立っているな。どうした?」
部屋に入っても、エルフナルドはすぐには答えなかった。
椅子に腰を下ろし、視線を落としたまま黙り込む。
「そんな顔で来るってことは、姫のことだろ。さっさと部屋に戻って、姫と過ごしてやればいい」
「……気になるなら、お前が行け」
低く吐き捨てるような声に、サリトスは眉をひそめた。
「何で俺が行くんだよ」
「晩餐会でも、庭園でも……お前たちは一緒だっただろう。それに初めて会った時も、あいつのことを気に入ったと言っていた」
エルフナルドの声には、抑えきれない苛立ちが滲んでいた。
「俺は、別にあいつでなくても構わない。お前が望むなら……やってもいい」
その言葉に、サリトスは小さく息を吐いた。
「……ほんと、素直じゃないな。お前も、姫も」
サリトスは頭を掻きながら、静かに言った。
「本気でそう思ってるなら、そんな顔でここには来ない。それに、俺が姫の代わりになる話じゃないだろ」
エルフナルドは苛立ったようにサリトスを睨んだ。
「くだらんことを言うな」
「茶化してないぞ。忠告だ」
サリトスは淡々と続ける。
「今のお前が姫のところに戻っても、また強く当たるだけだ。姫は……相当、傷ついた顔をしていたぞ。今日はこの部屋で休んでいけ。俺は長椅子で寝る。ベッドを使え」
そう言って、サリトスは長椅子に横になった。
エルフナルドは少しの間立ち尽くしていたが、やがて何も言わずベッドに腰を下ろし、そのまま横になる。
――あいつだって、サリトスの方がいいはずだ。
こんな俺よりも……。
目を閉じても、思考は止まらない。
胸の奥に、言いようのない苛立ちが渦巻いた。
――……なぜ、俺はこんなにもあいつのことで苛ついている?
答えを考えることから逃げるように、エルフナルドは強く目を閉じた。
それでも、唇を噛み締めて耐えていたユリアのあの表情が、頭から離れることはなかった。
サリトスが扉を開けると、エルフナルドの険しい表情を見てすぐに察したように肩をすくめた。
「……随分と苛立っているな。どうした?」
部屋に入っても、エルフナルドはすぐには答えなかった。
椅子に腰を下ろし、視線を落としたまま黙り込む。
「そんな顔で来るってことは、姫のことだろ。さっさと部屋に戻って、姫と過ごしてやればいい」
「……気になるなら、お前が行け」
低く吐き捨てるような声に、サリトスは眉をひそめた。
「何で俺が行くんだよ」
「晩餐会でも、庭園でも……お前たちは一緒だっただろう。それに初めて会った時も、あいつのことを気に入ったと言っていた」
エルフナルドの声には、抑えきれない苛立ちが滲んでいた。
「俺は、別にあいつでなくても構わない。お前が望むなら……やってもいい」
その言葉に、サリトスは小さく息を吐いた。
「……ほんと、素直じゃないな。お前も、姫も」
サリトスは頭を掻きながら、静かに言った。
「本気でそう思ってるなら、そんな顔でここには来ない。それに、俺が姫の代わりになる話じゃないだろ」
エルフナルドは苛立ったようにサリトスを睨んだ。
「くだらんことを言うな」
「茶化してないぞ。忠告だ」
サリトスは淡々と続ける。
「今のお前が姫のところに戻っても、また強く当たるだけだ。姫は……相当、傷ついた顔をしていたぞ。今日はこの部屋で休んでいけ。俺は長椅子で寝る。ベッドを使え」
そう言って、サリトスは長椅子に横になった。
エルフナルドは少しの間立ち尽くしていたが、やがて何も言わずベッドに腰を下ろし、そのまま横になる。
――あいつだって、サリトスの方がいいはずだ。
こんな俺よりも……。
目を閉じても、思考は止まらない。
胸の奥に、言いようのない苛立ちが渦巻いた。
――……なぜ、俺はこんなにもあいつのことで苛ついている?
答えを考えることから逃げるように、エルフナルドは強く目を閉じた。
それでも、唇を噛み締めて耐えていたユリアのあの表情が、頭から離れることはなかった。