敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
こうして一行はアルジール国へと向かった。
帰路では天候が崩れることもなく、雲ひとつない空の下、ゆっくりと国境を越えていく。
馬の蹄のリズム、遠くで鳥がさえずる声── 静かな景色が、張り詰めた空気を和らげてくれればいいと、ユリアは思った。
しかし、エルフナルドとユリアの間には、言葉にできない沈黙が漂い続けていた。
カリルやサリトスも、その空気を察していたのか、終始無言のまま馬を走らせた。
ユリアはエルフナルドの背中から外の景色を見つめ、目に映る緑の濃淡や風に揺れる草木をぼんやりと眺めながら、心の中で何度も昨夜の出来事を反芻していた。
――昨日の事をお聞きしたいけど、できない。
本当に……どうして陛下は……。
何度考えても、ユリアにはエルフナルドの行動を理解することができなかった。
アルジール国に到着すると、王宮の門には出迎えに来たアリシアの姿が見えた。
ユリアの姿を見つけるや否や、まだ遠くにいるにもかかわらず、アリシアは大きく手を振った。
「ユリア様ー!!」
ぴょんぴょんと跳ねながら呼びかけるアリシアの姿に、張り詰めていた空気がふっと和らぐ。
ユリアも思わず笑顔になり、馬の上から大きく手を振り返した。
「アリシアー!! ただいまー!」
その様子を横目で見ていたエルフナルドが、ぽつりと呟いた。
「……お前の侍女は、お前に似てきたな」
そう言って、後ろに乗るユリアにちらりと視線を向けたが、ユリアはその言葉に気づくことなく、アリシアと手を振り合っていた。
ユリアの笑顔が、少しだけ心の奥に残る重苦しさを和らげた。
帰路では天候が崩れることもなく、雲ひとつない空の下、ゆっくりと国境を越えていく。
馬の蹄のリズム、遠くで鳥がさえずる声── 静かな景色が、張り詰めた空気を和らげてくれればいいと、ユリアは思った。
しかし、エルフナルドとユリアの間には、言葉にできない沈黙が漂い続けていた。
カリルやサリトスも、その空気を察していたのか、終始無言のまま馬を走らせた。
ユリアはエルフナルドの背中から外の景色を見つめ、目に映る緑の濃淡や風に揺れる草木をぼんやりと眺めながら、心の中で何度も昨夜の出来事を反芻していた。
――昨日の事をお聞きしたいけど、できない。
本当に……どうして陛下は……。
何度考えても、ユリアにはエルフナルドの行動を理解することができなかった。
アルジール国に到着すると、王宮の門には出迎えに来たアリシアの姿が見えた。
ユリアの姿を見つけるや否や、まだ遠くにいるにもかかわらず、アリシアは大きく手を振った。
「ユリア様ー!!」
ぴょんぴょんと跳ねながら呼びかけるアリシアの姿に、張り詰めていた空気がふっと和らぐ。
ユリアも思わず笑顔になり、馬の上から大きく手を振り返した。
「アリシアー!! ただいまー!」
その様子を横目で見ていたエルフナルドが、ぽつりと呟いた。
「……お前の侍女は、お前に似てきたな」
そう言って、後ろに乗るユリアにちらりと視線を向けたが、ユリアはその言葉に気づくことなく、アリシアと手を振り合っていた。
ユリアの笑顔が、少しだけ心の奥に残る重苦しさを和らげた。