敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった

40 二度目の市場

 市場に到着すると、エルフナルドはユリアにフードを差し出した。

「一応、フードを被っておけ」

 そう言って、自身もフードを被る。
 二人は人混みの中へと紛れ込み、ユリアの目当てである植物の売り場へ向かった。
 露店をいくつも巡りながら、ユリアは夢中で品定めをしていた。
 買い物を終えた頃には、二人の手にはいくつもの荷物が抱えられていた。

「たくさん買っていただき、ありがとうございます」
「構わん。それより、本当に大丈夫か? そっちの荷物も持ってやるが……」

 エルフナルドは、ユリアの腕いっぱいの荷物を見て言った。
 荷は顔の高さほどまで積み上がり、ユリアは何とか前を見ながら歩いている状態だった。

「だ、大丈夫です! 私が欲しいと言って購入していただいたものを、これ以上陛下に持っていただくわけには……」

 すでに半分以上の荷物を持ってもらっているユリアは、これ以上はと、残りを必死に抱え込んでいた。
 本当は、ここまで買うつもりはなかった。
 だが、少しでも興味を示すたびに、エルフナルドが「買えばいい」と言って聞かなかったのだ。
 
「転ばないように気をつけろ」

 エルフナルドがそう言った直後、ユリアは足元の小石に躓き、バランスを崩した。

「あ……!」

 辛うじて転倒は免れたものの、よろめいたまま立ち止まる。
 エルフナルドは、呆れたようにユリアを見下ろした。

「……ほら、言わんこっちゃない。荷物を貸せ」
 
 エルフナルドは、ユリアから半ば強引に荷物を奪い取ると、そのままさっさと歩き出した。
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