結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
プロローグ
 今日は、私の結婚披露パーティーだったはず。だというのに夫シオドアは、私の目の前で私ではない女性と熱い口づけを交わしている。
 それはパーティーが始まって二時間後のできごとだった。
 ポーレット公爵家の長男とロイル侯爵家の長女の結婚ということで、国内でも有数の貴族たちを招待した華やかなパーティーが開催されていた。その関係者らにあらかた挨拶をすませて一息ついたとき、シオドアの姿が見えないことに気がついた。
 お手洗いだろうかと思ってしばし待ったが、それでも彼は広間に戻ってこない。
 双方の親も歓談に耽っており、シオドアが不在をわかっていないようだ。
 もしかして、夜風に当たるため外に出たのか。
 そういえば、挨拶で顔を合わせた人、合わせた人からお酒をすすめられてかなりの量を飲んでいた。
 だから心配になり、熱気漂う広間を後にして彼を探しにきた結果、テラスの先にある庭園で夫が見知らぬ女性と二人で抱き合い、熱く絡み合っている姿を目撃してしまったというわけだ。
「シオドア?」
 月明かりが照らす男女は何かと艶めかしい。噴水の前で静かに水音が響くなか、二人はきつく抱きしめ合っていた。
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