結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 シオドアは痺れを切らしたのか、テーブルの上にあったお酒のボトルに手を伸ばす。これも初夜の儀で新婚の二人の恥じらいをほぐすために用意されたものである。
 彼はボトルからグラスに中身を注ぐと、それを一気にあおった。
「はぁ、君と話をしていると疲れる。さっさと本題を言ってくれ」
「はい、ですからこの結婚における決め事です。例えば、リンダさんの子を後継として認め、その子は妻が養育するとか……。先ほど、旦那様がおっしゃったことです。それをきちんと明文化して、後で揉めないようにしましょうという提案です」
 私の話を黙って聞いていたシオドアは、もう一度、グラスに酒を注いだ。今度は一気に飲もうとせず、一口だけ口に含む。
「……なるほど。きちんと誓約書を作っておきましょうと、そういう話か?」
「そうです。双方合意のうえ、あなたとリンダさんの子を、将来のポーレット公爵家の後継とする」
「そういう話なら大歓迎だ。少しは僕のことを理解しようとする気になったみたいだな」
 私は微かに笑みを浮かべただけで、肯定も否定もしない。
「では、そちらの書類は私のほうで用意しておきます。二人でそれに署名をし、一部ずつ保管しましょう」
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