結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。

3.

 やはり、婚礼の儀で疲れていたのか緊張していたのかわからないが、目が覚めると室内はすっかり明るくなっていた。大きなベッドの端のほうで丸まって眠っていた私は、そろりと身体を起こす。
 少し頭が痛いかもしれない。だけど今日のうちに、シオドアと誓約書を交わしておきたい。いつ、彼が心変わりするかがわからないからだ。
 ベルを鳴らしてエマを呼んだ。
「おはようございます、奥様。お呼びでしょうか」
 彼女から奥様と呼ばれるのは、どこかくすぐったい気分だ。
「おはよう、エマ。着替えをしたいの。ところで、シオドア……旦那様は?」
「まだ、お休みになられているようです」
 そこでエマの声色が下がったため、ここにはいないシオドアがどこで休んでいるのだろうと、考えているのだろう。
「エマ。昨夜、旦那様はこちらに来られたのよ? だけど、彼には私以外に好きな人がいるみたいなの」
 愛人という言葉を使うのは、気が引けた。
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