結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 早速私はその紙を手にして、シオドアの元へと向かった。どうやら彼も自室で休んでいるらしいが、内扉は使わずあえて通路に出てから外扉を叩いた。
「イレーヌです。旦那様、今、お時間はありますでしょうか」
 気だるそうなシオドアの声が聞こえ、私は彼の部屋へと入る。
 シオドアはソファーで横になって、うつらうつらとしていたらしい。
「なんだ、何か用か?」
 不機嫌をまとわりつかせる口調だったが、私はそれを意にも介さず笑顔を振りまいた。
「はい。昨日、お約束した誓約書の件。内容をまとめましたので、確認していただきたいなと」
「はっ。相変わらずだな、君は。昨日の今日じゃないか」
「えぇ。ですがこういったものは早く決めておかないと、もめ事の原因になりますから」
 シオドアの顔の前に例の紙を差し出せば、渋々と彼もそれを手にとった。面倒だと思っているのはその態度からみてとれたが、それでも誓約書の中身に興味を持ったようで、彼の視線は文字を追っていた。
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