結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
第四章

1.

 心配していたシオドアとの結婚生活であるが、誓約書のおかげか可もなく不可もなくといったところで、今のところ穏やかな時間が過ぎている。彼と時間を共にするのは朝食と夕食の食事の時間くらいで、夜になれば彼はリンダがいる離れへと向かうようだが、その行動を他の者が知っているかどうかはわからない。知っていても口にしない、というのは暗黙の了解なのだろう。
 エマには私とシオドアの冷めた関係を伝えてあるし、できればアーヴィンとの仲を応援してほしいとまでお願いしてしまった。
「王弟殿下ですか? お似合いの二人じゃないですか。なぜ、くず男……失礼しました、あの人と婚約したのかって、実はクラス内でも騒がれていたんですよね。奥様は知らなかったと思いますけれど」
 エマが言ったような事実が、二年前に起こったとはもちろん知らなかった。それをエマに伝えると。
「だって、その件は禁句とされていましたからね。リーシなんて激怒してましたよ? あの子、ああ見えて奥様の大ファンだったんです。いつかは王弟妃となって、私たちをお茶会に呼んでくれないかな~なんて、夢みたいな話をしていたんです。私がロイル侯爵家で働くことになったのを知ったリーシには、心底うらやましがられましたけどね」
 そんなリーシは、今はマリネン子爵家の養子になり、子爵家の事業を手伝っていると聞く。子爵夫妻には子どもがいなかったため、学園に優秀な子がいたら紹介してほしいと、学園長には前々からお願いしていたようだ。
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