結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。

4.

 昨日までは鉛色の空が広がっていたというのに、今日はすっきりと清んだ青が眩しい。朝から室内に入り込む陽光は穏やかで、絶好のお茶会日和だ。
 私は晴れやかな気分で食堂へと向かったが、そこにシオドアの姿はない。
 ヘルナントに彼の様子を尋ねれば「旦那様は朝から具合が悪いと、離れでお休みになられています」とのことだ。
 どうやらシオドアは私との約束をしっかり守ってくれたらしい。
「まぁ、大変ね。今日は王弟殿下と約束があったの。食事が終わったら、旦那様の様子を見に行きたいのだけれど、問題はないかしら?」
「はい、流行病のようなものでもありませんので。昔から、旦那様は体調を崩されることが多く……」
 ヘルナントもシオドアとの付き合いが長い人だから、彼が大事な場面ですぐに具合が悪くなるのを知っている。そして王弟との茶会当日に体調を崩したとなれば、執事長が焦りたくなるのもわかる。そんな彼に心の中でそっと謝罪した。
「……そう。すぐによくなればいいけれど」
 心配した振りを見せつつも、私はパンにたっぷりジャムを塗った。どうやらヘルナントは、私がいつもより食欲があると見抜いたようだが、それに対しては特に何も言わなかった。
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