結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「旦那様には、果物を用意したほうがいいかしら? 具合が悪いときは、いつもどうしていたの?」
「はい。果物やゼリーなど、さっぱりしたものを召し上がっておりました」
「では、それを用意してもらえる?」
 穏やかに笑みを向けると、執事長もほっとした様子で「承知しました」と答える。
 朝食を終えた私は、果物とゼリーの入った籠を手にして、エマを連れて離れへと向かう。こちらの本館と離れは渡り廊下で繋がっているため、シオドアも行き来しやすいのだ。
 離れにいるリンダは、名目上は私の友人であり、下位貴族であるため行儀見習いも兼ねた私の話し相手ということにしてあるが、彼女はこの離れから出てこない。
 だから定期的に私がリンダの様子を見に行くわけだが、それがあまりにしつこいとシオドアは嫌がるのだ。
 しつこくしているわけではなく、私の友人としてこの屋敷においている以上、それらしい関係を見せつけておきたいだけ。私としてはいわゆる偽装工作のつもりなのだが、もはやそれも意味をなしていないような感じもしていた。
 リンダの部屋の扉を叩くと、扉を少しだけ開けたリンダが、その隙間から顔をのぞかせてきた。
「おはよう、リンダさん。旦那様の具合はどうかしら?」
< 158 / 181 >

この作品をシェア

pagetop