結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「なんか、もったいなくて、食べられないな」
「早く食べないと悪くなるわよ」
「でも、食べたらなくなるわけで……イレーヌ、また作ってくれないか?」
 そんなふうに笑顔を振りまかれたら、ダメだなんて言えないし、元から言う気もなかった。
「そうね。あなたの頼みなら断れないわ。仕方ないから作ってあげる。でも、次は失敗するかもしれないし、美味しいっていう保障もないからね。それでもいいなら……」
「もちろんだ。次も楽しみにしている。それよりも、先ほどの態度はなんなんだ? 笑いを堪えるのに必死だったぞ?」
 すでにアーヴィンは笑っている。
「どういう意味よ」
 私としてはロンペル子爵夫人として振る舞ったつもりなのに、笑われるとは心外である。
「それで? シオドアは本当に体調を崩したのか? あれがか?」
「まさか、私とアーヴィンの時間を邪魔しないようにってお願いしたの。シオドアもリンダさんと一緒に過ごしているから、おあいこでしょ?」
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