結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「そう。俺が向こうで飲んで、美味しいと思ったから、取り寄せた。君にも飲んでもらいたいと思ったから」
 そんなやわらかな眼差しで見つめられたら、私の鼓動はうるさくて仕方ない。
「それで、シオドアとの生活はうまくいっているのか?」
 アーヴィンはどこか苦しそうに眉を曇らせた。
「えぇ、そうね。シオドアとは誓約書を取り交わしたの。今日は、それをあなたに伝えたいと思って」
「誓約書?」
 イレーヌは、小さなハンドバッグから誓約書をすっと取り出した。
「これよ」
 アーヴィンは眉間にしわを刻み、それを手にした。彼の視線が忙しなく動く。
「……なんだ、これは」
「だから、誓約書よ?」
「いや、内容だよ……まぁ、あの夜にあいつが言っていたことでもあるが……」
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