結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 私が次から次へと口にすれば、アーヴィンはふっと軽く鼻で笑う。
「そういうところは、やっぱりイレーヌだな」
「ちょっと、どういう意味よ?」
 むっとしつつ、彼に視線をぶつけた。
「好奇心の塊。根は真面目で良い子」
 褒められているのかけなされているのかわからないような言葉だが、アーヴィンは私に熱い眼差しを向けながらさらに言葉を続ける。
「良い子すぎるから、俺としては心配になるんだよ」
「買いかぶりすぎよ。ほら、私って意外と負けず嫌いで執念深い人間だから」
 だからシオドアの件も、いいように利用してやるのだ。
「なるほどね……」
 アーヴィンの手が、私の作ったクッキーを一つ、摘まんだ。それを口に入れるたびに、胸がドキドキしてしまう。
「では、イレーヌからの要求にお応えして、トリアスの話でもしてやろうか?」
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