結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「もったいぶらずに教えなさいよ」
 でも、こういったアーヴィンとの言葉のやりとりは嫌いではなかった。周囲から見ればくだらないかもしれないが、私にとって彼は、気兼ねなく話しのできる人間の一人だから。
「でも、条件がある」
「なんなのよ、もう……それで、条件って何?」
 嫌いではないけれど、今日のアーヴィンはどこか意地悪だ。私は笑いながら、クッキーを手にした。
「君が、シオドアと結婚した経緯を教えてほしい」
 手にしたクッキーを食べようとしたが、それは口の中に入ることなく、唇の前で止まった。
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