結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 それは彼がリンダに対して好意をもってくれていると解釈していいのだろうか。期待に胸を弾ませる。
「リンダ・ミラーです」
「ミラー? ミラー男爵の?」
「父をご存じなのですか?」
「まぁ、そうだね。ミラー男爵領では葡萄を作っているよね?」
 シオドアが言うように、領民は荘園で葡萄作りに励んでいる。それらを一部加工して、葡萄酒や葡萄水にしているのだが、これがわりと評判がいいらしい。
「はい」
「ミラー男爵領の葡萄水、好きなんだよね。さすがにまだ、葡萄酒は飲めないけれど」
「そうなんですか?」
 シオドアの「好き」という言葉がリンダの心に刺さった。
「嬉しいです。両親にも伝えます。きっと父のことだから、調子にのってたくさん送ってくれると思います」
「はははは。そのときはありがたくいただこうかな」
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