結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 つまり愛人がいるから領地に行けないと言っている。
「だったら、彼女も連れていけばいい。イレーヌの侍女として住まわせているのだろう? そのまま侍女として領地に連れていけ。おまえが領民のために顔を出した。その事実が重要なんだ」
 これでは先が思いやられると、ポーレット公爵はグラスの残りを一気に口へ含み、空にした。
 シオドアはまだお酒をちびちびと飲んでいるが、もう息子に用はない。
 言いたいことはすべて伝えたつもりだし、長子だからという理由で公爵を継がせるつもりもない。他に息子は二人いる。
 シオドアが使えないと分かれば、切り捨てればいいだけなのだが、そうなるとイレーヌも扱いにも問題が出る。彼女だけは、他にも使い道があるから手元に置いておきたい。
 グラスをテーブルの上に戻すと、舌の上には燻したにおいのする酒の味が残った。
< 218 / 233 >

この作品をシェア

pagetop