結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 いろいろ思うところはあるが、細かいところを気にしていたら、ロンペル子爵夫人として生活できない。シオドアに寄り添った結婚生活を送れたらいいな、なんて思っていたあのときの私はもういない。
 とにかく今は、子爵領を見て回るのが最優先事項だ。
 ロンペル子爵領にはコメルという小さな町があり、普段は代表と呼ばれる男が、コメルの町を取りまとめている。
 領地に着いた日の夜は、代表の屋敷に招待されて食事をし、領地の様子をざっくりと聞き出した。シオドアは黙って相づちを打つだけだが、私はここぞとばかりに帳簿や報告書を見て疑問に思った内容を、次から次へと口にした。
 代表は嫌な顔を一つせず、むしろこの場所に興味を持ってもらって喜ぶかのように、始終笑顔で答えてくれた。
「よろしければ、明日。案内いたしますが」
「ありがとう。でも、普段と変わらぬ様子を見てみたいの。だから明日はこっそり、こちらの町を見させてもらうわ」
「こっそりですか?」
 私が少し顔を伏せてからシオドアに視線を向けると、代表も納得したのかにっこり微笑んだ。
「そういうことでしたら、ぜひ、お二人でゆっくり見ていただければ。おすすめのレストランもございますので」
「あら、それは早速教えてほしいわ」
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