結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 もう一度シオドアを見やると、彼も泰然と受け入れる。
 代表の緊張も解れてきたのか、言葉数も多くなり、食事の場が少しだけ賑やかになった。
 だが、帰りの馬車ではシオドアが眉間にしわを作り、何か言いたそうに私のほうを睨みつける。
「どうかされました?」
 その言葉がきっかけとなり、うっぷんを封じ込めていた蓋が外れたのだろう。シオドアは「先ほどの食事の場は、なんなんだ」と、文句を言い始めた。
「僕は君と町の視察に行く気はない」
「ええ、存じ上げております。だから、代表の誘いをお断りしたじゃありませんか」
「だが君は、こっそり行くと言った」
「はい。ですからこっそりです。あなたと一緒でないのなら、こっそりのほうがいいのでは?」
 やっと私の言葉の意味を理解したようで、そこでシオドアは口をつぐんだ。シオドアには、リンダと一緒に屋敷で留守番でもしてもらったほうがいい。いざとなれば、得意の体調不良を使ってもらえばいいのだ。
< 222 / 233 >

この作品をシェア

pagetop