結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 子爵領の本邸では、使用人たちが屋敷の維持に努めてくれている。だから、突然、私たちが訪ねる予定を立てたとしても、難なく受け入れてくれた。
 彼らは新婚の私たちに気遣って部屋を用意していたようだが「遊びに来たわけではなくて、仕事をしに来たの」と言えば、夫婦に別々の部屋をすぐに準備してくれたのだ。
 シオドアと別れ、エマを連れて部屋に戻ると、やっと息をつけた。
「旦那様には困ったものですね」
 エマは苦笑しながらも、お茶を淹れてくれた。さわやかな香りが漂うハーブディーは、ふっと心を軽くしてくれる。やはりシオドアと一緒にいると、弱みは見せてはならないという気持ちが働いて、どこか緊張しているのかもしれない。
「いいのよ、私は納得しているわけだし。それに、私がやろうとしていることに反対するわけでもないし」
 あれはダメ、これはダメといちいち言われていたら、手間がかかって仕方ない。それがないだけマシだと思っている。
 ただ私とシオドアには、互いの愛人との関係に口を出してはいけない約束があるから、彼もそれを忠実に守っているだけなのかもしれない。
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