結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「さすがだね、お兄さん。そうだよ、この辺は銀が安く手に入るからね。ほら、良心的な値段だろ?」
 アーヴィンのこめかみがぴくっと動いたが、銀細工のアクセサリーに真剣な視線を向ける。するとアーヴィンの後ろからマルクスも顔を出し、同じように品物を眺めていた。
「よし、これにしよう」
「お兄さん、お目が高いね!」
 婦人は顔をくしゃくしゃになるほどの笑顔を向け、アーヴィンが選んだ銀細工の耳飾りを手にする。
「君は買わないのか?」
 アーヴィンはマルクスに場所を譲りつつ、婦人にお金を払って銀細工を受け取った。
「イラ」
 慣れない名前を呼ばれると、ドキリと心臓が跳ねて顔が熱くなる。
 アーヴィンが手にしている銀細工は、銀を線状にして花柄に編んだ耳飾り。それを手にした彼の顔が、息も触れ合うくらいに近づいてくる。
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