結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
閑話:ヴェリオン
 幼い頃は、病弱でよく熱を出して寝込んでいた。
 そう言われるヴェリオンだが、本当に身体が弱かったわけではない。ヴェリオンの立場を考えると、目立てばすぐにその芽を摘まれるのはわかりきっていた。
 記憶のある限り、それはおそらく四歳のときに毒によって倒れたのが最初である。行動範囲も広くなって接する人間が増えた時期であり、ヴェリオンの世話をしていた侍女の一人が、飲み物に毒を入れた。
 幸いなことに味がおかしいと気づいたヴェリオンは、それをすぐに吐き出したが、小さな身体には多すぎる毒を取り込んでしまったらしい。赤ん坊のときから毒に慣らされているとはいえ、それだって完全なものではない。
 五日ほど高熱にうなされ、生死の境目を彷徨い続けたものの、なんとか命だけは助かった。
 だが、この件は公にされなかった。
 毒を盛った侍女は極秘裏に処刑され、ヴェリオンは体調を崩して寝込んだことになっていた。
 王子が毒によって倒れたという事実は、相手に隙を与える材料になりかねないというのが、当時の国王、すなわちヴェリオンの父親の判断である。
 そこでヴェリオンは考えた。
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