結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 恐らくヴェリオンが学園で学ぶようになり、学友という名の味方を作り始めたのが理由だろう。
 両親はアーヴィンをたいそうかわいがっていたし、周囲もヴェリオンに何かあってもこれで安心だと、こそこそ話をしていたのは知っている。知っていても知らないふりをするのも必要なのだ。
 弟のアーヴィンは、ヴェリオンから見たらかわいそうな子であった。何よりも彼は、周囲からはヴェリオンの予備として扱われている。
 そしてヴェリオンが結婚して子が生まれると、アーヴィンの存在はかすんでいく。それでも持ち前の明るさと素直さで、周囲の人間を惹きつけていた。
 ヴェリオンが王位についたのは三十歳になったとき。父が王位をヴェリオンに譲り、離宮へと下がった。
 幼いヴェリオンが毒に倒れたときから、彼らは気が休まる暇もなかったのだろう。
 ヴェリオンも、セリウスの親になったからこそ、そう感じるようになっていた。
 だが、そうなると今度はアーヴィンの立場に期待が寄せられる。学生であっても王弟という肩書があり、娘に王弟妃をと望む者も増えた。あわよくば学園卒業と同時にと、早い段階での結婚を期待する者さえ。
 しかし弟はその話に興味を示さず、静かに断り続けるだけ。
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