結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 まだ縁談に興味がないのだろうと思っていたが、そうではなかった。
 彼には、気になる女性がいたのだ。
 彼女の名はイレーヌ・ロイル。ロイル侯爵家の娘で、学園の成績もアーヴィンと競うほど優秀らしい。
 テロス展に彼女を誘った時点で、アーヴィンの気持ちは周囲にダダ洩れである。
 ヴェリオンも彼女であればアーヴィンの相手に相応しいだろうと、密かに思っていた。ロイル侯爵は、強硬派にも穏健派にも属していない中立派の人間であり、その娘であればなおのこと。
 ところが先に動いたのが強硬派の筆頭ともいえるポーレット公爵だった。
「てっきり君は、イレーヌ嬢に好意を持っていると思っていたのだが……」
 ヴェリオンはアーヴィンを呼び出して問うた。
 ポーレット公爵の息子とイレーヌの婚約が決まったと弟に告げたときの表情を見れば、やはり彼がイレーヌに好意を寄せていたのは一目瞭然である。
「なぜ……」
 かすれた声が聞こえたときは、我が弟ながら不憫に思えてきた。
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