結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 彼女の父は、ポーレット公爵が宰相になったときには財務大臣になる。中立派の人間が、大臣職に就くのは珍しいが、こちらからすれば、そういった中立派の人間が欲しい。
 とにかく、今の国政は頭の痛くなる問題ばかり。
 そこにアーヴィンとロイル侯爵が入って、うまく風通しをよくしてくれるのを願うだけ。
 アーヴィンがポーレット公爵を失脚させた暁には、イレーヌとの結婚を認めるべきだろう。
 たとえ彼女がポーレット公爵子息と結婚していたとしても、王族には特権がある。
 それを使うためにはいくつか条件があるものの、アーヴィンであればそれすら難なくやり遂げると期待していたのだが――。
「父上。叔父上があまりにもへたれだったら、僕がイレーヌ夫人を奪ってもいいですか?」
 セリウスがそう告げてきたのは、十七歳の誕生日を三日後に控えた夜。
 息子が何を言い出したのかと、ヴェリオンは耳を疑った。
「イレーヌ夫人がポーレット公爵子息に嫁ぐのを黙って見ていたのは、彼女が公爵家の情報と接する機会を利用するためですよね?」
 セリウスの言う通りだ。
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