結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「ん? なんのことだ?」
 義父は顔をしかめ、片眉をひくりとあげる。
「シオドアがリンダさんに新作のドレスを贈ったという話を耳にされたのですよね? それで私が恥をかかないようにと……」
「あぁ、そんなこともあったかな」
 どこか遠い目をする義父だが、そのしぐさはどこかわざとらしい。
「だけど、お義父様のご厚意も、無駄になったかもしれませんね。シオドアはこれから、社交にはリンダさんを連れていかれるようです。それもお義父様たちにお伝えしておいたほうがよろしいかと思って……」
「そうか、息子夫婦のことだからな。私からは何も口を出せないが……だが、イレーヌ。しょせん、愛人は愛人だ。立場の違いを意識しておくように」
 私の両親は夫婦仲がよく、浮気だの愛人だの、そういった話が聞こえてくることはなかった。
 だからきっと、シオドアが愛人を連れて歩いていたら、私の両親が激怒するのが目に見えているが、義理の両親にいたっては非常に落ち着いている。つまり、これは珍しい話ではないということだ。
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