結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 もちろんエマは側にいてくれるけど、私の心情を読み取ってくれているのだろう。特に何も言わず、ただ寄り添ってくれるだけ。でも、それが心強かったりするのだ。
「アーヴィンに……会いたいかも……」
 誰に言うわけでもなくこぼれた本音は、エマの耳にも届いていたようで、彼女ははっとした様子で私を見つめてきた。
「奥様?」
「ごめん、なんでもないの……」
「なんでもなくありません。旦那様にあんな仕打ちをされて。今ではリンダさんが我が物顔で社交の場に立っているという話ではありませんか」
 それはシオドアが連れていくからだ。
「奥様はめったに……」
 パートナーがいないのに、一人で行ったところでいろんな矢面に立たされるのは目に見えている。それよりも、領地の支出の件でも頭が重く、夜な夜なパーティーとかそういう気分ではなかった。
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