結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 シオドアに掴まれた腕は少しだけ違和感が残ったものの、私は机の中身を鞄の中に詰め込んだ。
「イレーヌ、持つよ」
 アーヴィンがすかさず私の鞄を手にする。
「生徒会室に行く前に、医務室へ行こう」
 私がきょとんとして彼を見上げれば「痛むんじゃないのか?」とシオドアに掴まれた腕を指差す。
「平気よ。それよりもみんな、待っているでしょう? 早く生徒会室に行きましょう」
 そろそろ生徒会役員の改選が行われる。それに向けての準備や引き継ぎなど、やることはたくさんあるのだ。
「君がそう言うなら無理強いはしないが……とにかく、なんなんだ? あいつは……」
 私もそう思っている。恐らくというか絶対に私を嫌っている。彼は私の存在そのものが気に食わないのだろう。だからってシオドアの思い通りになってやるつもりはない。
 それよりも、私の心をざわつかせていたのはアーヴィンがシオドアに放った言葉である。テロス展に誘われたのは、私が特別だからではなく、絵画に興味を持っていて話が合うから。
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