結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「イレーヌがなかなか来ないから様子を見に来てみれば。なぜ、そんなにもイレーヌにつっかかる? もしかして、彼女のことが好きなのか?」
「なっ……何をっ……」
 アーヴィンが変なことを言うものだから、シオドアは顔を真っ赤にしながら否定した。その姿を見たアーヴィンは鼻で笑い、言葉を続ける。
「俺がイレーヌをテロス展に誘ったのは、彼女が絵画に深く興味をもっているからだ。どうせなら、話が合う者と一緒に行ったほうが楽しめるだろう? その相手がたまたまイレーヌだったというだけだ。げすの勘ぐりはやめてもらいたい」
 シオドアよりもアーヴィンのほうが背は高く、少しだけ見下ろす形になる。さらにアーヴィンの態度は威圧的であり、何も言い返せないシオドアは「ふん!」と鼻息荒くして、教室から出ていった。
 ピシャリ! と荒々しく扉が閉められる。
「なんなんだ、あいつは。わざわざDクラスからここまでやってきたのか?」
「帰る途中だったのでは? 昇降口に向かうにはここの前を通る必要があるでしょう?」
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