結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 兄王からイレーヌとシオドアの婚約を聞いたアーヴィンは、いてもたってもいられなかった。時間が過ぎるのがこれほどもどかしいと感じたのも初めてだ。早く夜が明けないかと、そればかり考えていた。
 学園に行けば、今すぐにでもイレーヌに確認したいのに、他の生徒がいる前で尋ねるのは得策ではない。なんとか彼女と二人きりになる機会を探った結果、図書室から出てきたイレーヌに声をかけた。
 生徒会室が使えれば手っ取り早いのだが、卒業を間近に控えたこの時期は、後輩たちが卒業パーティーの準備で忙しい。
 結果、人けのいない場所として選んだのは、廊下の先にある踊り場。授業も終わりほとんどの生徒が帰ったこの時間だからこそ、周囲に人がいる気配もない。
「それで、確認したいことって何?」
「イレーヌ……」
 イレーヌの琥珀色の瞳が大きく見開かれた。
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