結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 そこまで嫌っているなら、縁談を断ればいいものをと何度も思ってしまう。
「シオドア、顔色がすぐれないけれど……衣装決めは他の日にしましょうか?」
 私が声をかければ、シオドアは「問題ない」と手を振って答える。
「こういうのはさっさと終わらせてしまったほうがいいだろう? ね? 母さん」
「そうよ、イレーヌさん。この子に気を遣う必要はないわ。顔色が悪いのだって、夜更かしのせいなんだから」
 夜更かししてまでいったい何をやっているのか。
 父伝手に聞いた話では、シオドアはポーレット公爵と共に紳士サロンに顔を出しているとか。とっくに学園も卒業しているし成人も迎えたのだから、そういった場に行くことも、なんら問題はない。
 わかっているはずなのに、心の中にはわだかまりのような、何かもやもやした気持ちが生まれている。違和感、と呼ぶものかもしれない。
「じゃ、早速カタログを見せてくださいよ」
 カップを傾けて残りを一気に飲み干したシオドアは、一応、衣装を決める気はあるらしい。
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