結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。

4.

 シオドアとの婚約が解消されるようなことはなく、予定通り結婚式を挙げる日がやってきた。
 朝から念入りに身体を磨かれ、真っ白いドレスを着つけられと、目がまわるような速さで次から次へと侍女たちが動いてくれる。
「あぁ……イレーヌ……」
 ロイル侯爵家の控え室では、父が泣きそうな顔をしながらおろおろしていた。ちなみに、三日前からこんな感じである。
「イレーヌ姉様。父様が使いものにならないようなので、僕が一緒に入場しましょうか?」
 弟のイーグルもタラン学園に入学し、ここ一年でぐっと背が伸びて大人っぽくなった。
「そうね。だけど本当にそれをやったら、あなた、お父様から一生、恨まれるわよ?」
「そうだよ、イーグル。いくら息子であっても許せるものと許せないものがあるからね」
 父の言葉に、やれやれと言いたげなイーグルは、大げさに肩をすくめて首を振る。
 すると「お時間です」と係の人が呼びにきた。
 私とシオドアの結婚式は王都の中心にある大聖堂で執り行われる。宰相であるポーレット公爵の息子と財務大臣のロイル侯爵の娘、その二人の結婚式というのもあって、まさしく王国あげての結婚式といってもいいほど。議会での力関係も、私とシオドアの婚約が決まったときから変化があったとか。そんな話を父が口にしていた。
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