結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「だったら君も愛人を作るといい。その重責に堪えられなくなったら、愛人に慰めてもらえばいいよ? そうすれば僕たちは公平だろう? そう、平等なんだよ、僕たちは。君が大好きな学園の教えだ」
 結婚したからシオドアも私に気持ちを向けてくれるだろうと期待していたのがバカらしくなった。彼は学園に通っていたときから、何ひとつ変わっていない。
「では、旦那様。私は先に会場に戻りますね。これだけ人が集まっているんですもの。愛人を探すにはもってこいでしょう?」
 胸の痛みを隠して私は会場へ戻ろうとしたところ、人の気配に気づく。
「ごきげんよう」と声をかけてみたが、なんてタイミングが悪いのだろう。
「ごきげんよう、イレーヌ」
 私の鼓膜を震わせたのは、忘れたくても忘れられなかったアーヴィンの声だった。
「結婚おめでとう、シオドア」
 それでもこのようなみじめな姿を彼には見られたくなかった。
「あ、ありがとうございます。王弟殿下……」
< 83 / 141 >

この作品をシェア

pagetop