結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
閑話:セリウス
「叔父上って、意外とへたれなんですね」
 ノックと共に声をかけ、アーヴィンの部屋へと入る。彼は机に向かって何やら書き物をしていたようで、セリウスの声に驚き振り返った。
「なんだ、セリウスか……」
 セリウスは腕を組みながら、扉の脇の壁に寄りかかるようにして立つ。十二歳らしくもない態度かもしれないが、これはきっと父親の影響だろう。
「なんだ、じゃないでしょう」
 アーヴィンの反応が面白くなく、セリウスは苛立ちを隠さず叔父に近づいた。
「聞きましたよ。イレーヌ嬢が、ポーレット公爵のぼんくら息子のシオドアと婚約したと」
 セリウスがアーヴィンの隣に立つと、ドン! と机の上に両手をついた。その勢いで、机の上にあったペンがコロコロ転がる。
「叔父上はイレーヌ嬢を好いているのではありませんか?」
 座るアーヴィンとほぼ同じ高さの目線であるというのに、彼より六歳年下のセリウスは鋭い眼光を向けた。
「それをおまえに答える必要はあるのか?」
< 86 / 141 >

この作品をシェア

pagetop