結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 とにかくそういった過去もあり、王族は本当に心から愛する女性が既婚者であっても、相思相愛であった場合は特例として略奪が認められている。
 ただし条件があって『本当に愛する者と出会ったときに限る』ともされているのだ。
「まるで叔父上のようですよね。自分から動くことのできないへたれ王子」
 セリウスが口元に軽く笑みを浮かべれば、アーヴィンはむっと不機嫌になる。
 この話は王子が愛する人に気持ちを告げられなかった悲劇が背景にあるように見えるが、王族特権の略奪婚にはもう一つ別の意味が存在する。
 そのもう一つの意味を成そうとしているのが父王であり、そのために自分の弟の恋心を利用しようとしている。
「セリウス。俺は、学園卒業後は隣国トリアスに行かなければならない」
「知っています。父からの命令ですよね?」
 端から見ればイレーヌに振られたから傷心の旅に出たようにも見えなくはないが。
「あぁ、ポーレット公爵がトリアスの貴族と接触しているからな」
 やはりポーレット公爵はくせ者だ。そのような家にイレーヌが嫁ぐという事実に、セリウスも胸が痛んだ。
< 93 / 141 >

この作品をシェア

pagetop