結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 音楽は軽やかな三拍子の旋律を奏でており、アーヴィンと二人で広間の中央へと向かう。
 よりいっそう音楽が大きくなったように聞こえた。と同時に、人々の歓声がわっと盛り上がる。
 音楽に合わせ踊り始めると、シャンデリアの明かりを受けた私のドレスは明るく輝き、シオドアの瞳の色に合わせたものだというのに、アーヴィンの髪の色にも見えてくるのが不思議だった。
「君とこうして踊るのは……学園の卒業パーティー以来かな?」
「そうね。卒業後、あなたはどこかへ行っていたみたいだし。だから今日……まさか来てくれるとは思ってもいなかった」
 彼があの場にいてくれて私は救われたが、その言葉にアーヴィンは切なそうに微笑んだ。
「そうだな。公爵から招待状が届いたときはどうしようかと思ったが……今は来て、よかったと思っているよ」
 音楽の盛り上がりに合わせてアーヴィンが私の身体をふわりと持ち上げたためか、周囲にどよめきが走った。
「きゃっ……ちょっと、アーヴィン」
 突然のことに小さく悲鳴をあげれば、アーヴィンはいたずらが成功した子どものような無邪気な笑顔を向けてくる。
「いいじゃないか。俺との仲を見せつける絶好の機会だからな」
「……そうね」
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