御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
渚は急いで掃除用のエプロンを脱いで手を洗い、彼女の手から赤ちゃんを受け取った。
赤ちゃんを抱っこした経験はない。
小さくて扱いを間違えたら壊れてしまいそうな気がして少し怖かった。
「ああ、腕が軽い。久しぶりに解放された気分です。母親のくせになに言ってるんだって、自分でも思うんですけど……」
真剣に一生懸命育児をしているからこそ、疲れ切って逃げたい気持ちにもなるのだろう。
(こんなに小さな命を守らないといけないんだから、体も気持ちも休まる暇がないよね。育児ってすごく大変なんだ)
自己嫌悪している彼女をなんとか励まそうと言葉を探す。
「母親だってゆっくりしたい時があって当たり前だと思うんです。お客様は頑張りすぎるくらいに頑張っています。だって、赤ちゃんがこんなに幸せにすくすく育っているんですもの。母親だから大変で当たり前だとは思いません。お客様は毎日、すごいことをしています」
すると彼女の目から涙がこぼれた。
「ありがとうございます……すごく嬉しい。私、誰かに頑張ってるって言ってもらいたかったのかも。今、スッと気持ちが楽になりました」