御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
(まだ結婚してないのに気が早いよね。仕事に集中しないと。新人だからこそ一生懸命丁寧に)

働き始めたのは先週で、まだ六日しか勤務していない。

初日は研修でそのあとに二回、社員と一緒に依頼者宅を訪問し、ひとりで掃除に来たのはこれが五件目だ。

会社のロゴが入ったエプロンを着た渚は早速掃除に取りかかる。

教わった手順で真剣にキッチンとトイレ、洗面所と浴室を磨き上げた。

ピカピカになると達成感があって気持ちいい。

「終わりました。ご確認お願いします」

「わっ、すごくきれい。ありがとうございます」

九十分の依頼で承っていたので、あと十五分残っていた。

「他に私にできることがあればお申し付けください」

「いいんですか?」

「はい。もちろんです」

掃除機をかけたり床を拭いたり、十五分でできることは色々とある。

けれども依頼者の要望は予想外のことだった。

「この子を抱っこしてもらえませんか?」

「えっ?」

「子供はすごく可愛いんですけど、初めての子育ては思ったよりしんどくて。正直に言うと、身軽になりたいと思う時もあるんです」

よく見ると女性はかなり疲れた顔をしている。
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