御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
まずは父親からと彼に言われているので、それを無視してはいけない気がした。

「リビングとキッチンの清掃を九十分で承っておりましたが、変更はございますか?」

「いいえ、それでお願いするわ」

「かしこまりました。お掃除に入らせていただきます」

部屋の広さだけを考えると作業時間は足りないが、元からきれいなので早く終わりそうだ。

家政婦が業者を呼ぶ必要性に疑問を投げかけていたが、渚も同じように感じた。

(どうしてだろう。依頼しないと、薦めてくれた知人に悪いと思ったから?)

もしくは知人との共通の話題ができると思ってのことかもしれない。

リビングの掃除をしている間、宏斗の母親はソファで読書をしている。

その横顔には凛とした美しさがあり、やはり宏斗に似ていると感じた。

チラチラと見ていると顔を上げられて視線が合い、心臓が波打つ。

「あ、あの、リビングが終わりましたので、キッチンに入ってもよろしいでしょうか?」

「ええ。こちらよ」

一度、廊下に出て、リビングの斜め向かいにあるキッチンに案内してもらった。

やはりここも掃除が行き届いていて、シンクは光り輝いている。

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