御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「大丈夫ですよ。宏斗さんは早く仕事に――」

「まだ五分ある。こっちに来て」

ソファに座らされて体温計を渡された。

測ってみると三十七度五分の熱があった。

「顔色もよくないな。具合が悪いのを我慢して家事をしなくていいんだよ」

「すみません」

「いや、怒っているわけじゃないから。今日は仕事はないんだよね? 病院に行った方がいい」

「このくらい平気です」

「夜に熱が上がるかもしれないよ。頼む」

過保護な気もするが、その心配の根底に愛情を感じて胸が締めつけられる。

(こんなに愛してくれているのに、私と結婚したら夢が叶わないなんて……)

「たぶん夏風邪だと思うんですけど、念のために病院に行きますね」

そう言うと宏斗の眉間の皺は解け、家事をしないように念を押してから慌ただしく出かけていった。

しばらくソファで横になっていると少しは気分の悪さや倦怠感が和らいだ。

(なんだか眠い。最近、寝不足でもないのに眠くなるのはどうしてだろう。このまま寝てしまいたいけど、行かないと)

九時に自宅を出て、歩いて五分ほどの場所にある内科のクリニックに行った。

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