御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
『冗談なわけあるか。こっちは生死がかかってんだよ。絶対にやれよ。時間がないからすぐにだぞ。やらないと怖いやつらも連れて本当に本社に乗り込んでやる』

『また連絡する』と電話を切られて呆然とする。

(どうしよう。宏斗さんの夢を潰してしまう……)

目の前が暗くなるような心地がして、そのままベッドに倒れ込んだ。

自分が疫病神のような存在に思えて激しく自己嫌悪する。

本来なら窮地を救ってくれた宏斗に恩返しをしなければならないのに、迷惑をかけるばかりで情けない。

(どうしよう、どうしよう……)

声を出さずに数時間泣き続け、涙が枯れ果てた時には部屋の中が薄暗くなっていた。

水が飲みたくてベッドを下り、ふらふらと歩き出した三歩目でよろけて転んでしまう。

咄嗟に庇ったのはお腹で、双子の存在を強く意識してハッとした。

(しっかりしないと。私は母親になったんだから)

情けないと嘆いているだけではなにも変わらない。

守りたいものをはっきりさせて、動き出さなければと顔を上げた。



それから五日間、考えに考え抜いて決意した渚は今日、行動に移す。

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