御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「その中で唯一、自分で選んだのが競泳だ。それを通して友人の幅も広がったし、自由になれた気がして嬉しくてのめり込んだ」

「競泳はお母様に反対されなかったんですか?」

「スイミングスクールに通いたいと言った時は反対されたよ。泳ぐのが速い息子より英語が得意な息子の方が自慢できると言われてね。それで母ではなく父に頼んだんだ」

「自慢って……」

「そういう人なんだよ。俺を自分のアクセサリーだと思ってる。大人になった今でもね」

静かにショックを受け、思わず自分のお腹に手をあてた。

この子たちの望みはできる限り叶えてあげたいと思うけれど、自慢するための道具にしようとは少しも思えない。

宏斗が気の毒で同情的に見つめたが、彼はとっくに諦めているといった様子で淡々としている。

「俺は父のあとを継いでISSIKIのトップに立ちたい。自社の車を愛しているから、もっと多くの人に乗ってほしい。世界一の自動車メーカーにこの手で育てるのが夢なんだ。母も俺が経営者になるのを望んでいるが、願いは同じでも根本が大きく違う」

< 182 / 222 >

この作品をシェア

pagetop