御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
ゆっくりと話し合う時間も愛し合う時間もないけれど、バタバタと過ぎていく毎日に幸せを感じていた。



今日は双子の百日祝いの日で、渚は家族四人で料亭に着いたところだ。

早めに来たので座敷にはまだ誰もいない。

木目の美しい座卓には座椅子が二十二人分並んでいる。逸敷家の親戚十八人と渚夫婦、義理の両親を合わせた数だ。

床の間の前には双子用のベビーチェアも用意されているが、まだ座れないので夫婦でひとりずつ抱っこするつもりでいる。

座敷の向かいに控室も用意してもらったので、泣き出したら部屋を移ろうと思っていた。

「宏斗さん、お義母様から連絡はありませんか?」

招待状は送ったが返事はない。

携帯を確認した宏斗が首を横に振る。

「すまないな」

「いえ、宏斗さんはなにも悪くないです。私の方こそ余計な心配を増やしてすみません」

(やっぱり来てくれないのかな……)

時刻は間もなく十一時になるところだ。

招待した親戚たちが続々と到着して、義母のことばかり考えていられなくなる。

さすが逸敷家の親戚で有名企業や官庁の要職に就いている人も多いそうだ。

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