御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
座敷は和やかで楽しい雰囲気に包まれていたが、義母だけは最後まで双子に触れようとしなかった。

二時間で食事会はお開きとなり、親戚たちにお土産を渡して見送った。

襖を閉めた座敷に家族四人と義理の両親が残っている。

「寄る場所があるのよ。先に帰るわ」

義母が義父に言って座敷を出ていこうとしている。

宏斗は冷めた目で見送るだけで、義父は肩をすくめてすまないと言いたげな目を渚に向けた。

(次にいつ会ってくれるかわからないから、引き留めないと)

義母と話すのは少し怖いが、急いで声をかける。

「お義母様、待ってください! 航大と花凛を抱っこしてくださいませんか?」

その声が大きかったせいで、渚の腕の中で花凛が驚いて泣き出した。

「花凛、ごめんね。びっくりしたね。大丈夫だよ、泣かないで」

泣いていると抱っこしてもらえないと思い、オロオロした。

義母は振り向かないが足を止めている。

加勢を求めて宏斗を見ると、彼がため息をついた。

「母さん、いい加減にしてくれ。渚はひどい目に遭わされても、子供たちにとってはたったひとりの祖母だからと歩み寄ってくれているんだ。無視するなよ」

< 210 / 222 >

この作品をシェア

pagetop