御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
(どこで働いても迷惑をかけることになりそう。働かずにずっと宏斗さんのお世話になるわけにいかないし、どうすればいいの?)

オーブンが鳴ってハッと我に返った。

時刻は十九時半だ。宏斗が知らせてくれた帰宅予定時間がそのくらいだったので、急がなければと慌てた。

鶏肉を取り出そうとして「熱っ!」と声を上げた。

キッチングローブをするのを忘れて素手で天板に触れてしまったのだ。

初心者でもやらないミスに自分自身が一番驚いている。

(私、もうダメかも……)

「どうした?」

今度は声をかけられて驚いた。

スーツ姿の宏斗がリビングのドアを開けている。

今帰宅したところのようだ。

オーブンの前で左手を押さえている渚を見て瞬時に察したようで、駆け寄ってきた。

「火傷したの?」

「指先を少し」

「こっちに。冷やさないと」

キッチンシンクの前に立たされ、流水で冷やしてくれる。

初恋の人の温もりを背中に感じて胸を高鳴らせたのは一瞬だけだ。

渚の左手と一緒に濡れている彼の袖口を見て、自分は迷惑をかけるばかりのダメな存在なのだと落ち込んだ。

「まだ痛む?」

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