御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
入院中の航を見舞った時、渚の結婚を知らされて驚いたのをよく覚えている。

宏斗の中の渚は最後に会った中学生の頃で止まっていたからだ。

恋愛結婚をさせてあげられなかったと気にしていた親友を宏斗は励ました。

『見合い結婚でもいいんじゃないか。渚ちゃんが幸せなら』

あの時の自分の発言を振り返り、顔をしかめた。

次に思い出したのは航の葬儀で数年ぶりに会った渚のことだ。

礼服姿の彼女は清楚ではかなげな美しさがあり、すっかり大人の女性になっていて戸惑った。

泣きはらした赤い目を見れば深い悲しみの中にいるのが伝わってきたが、はかなげという印象はすぐに変わった。

喪主として参列者への挨拶や対応、式場関係者との事務的なやり取りなどの役目を立派にこなしていて、凛とした芯の強さを感じたのだ。

(彼女が気丈に振る舞えるのは結婚相手がしっかり支えているからだと思っていたんだ。俺の出る幕はないと)

十日前、彼女に偶然会って離婚したのを知った。

幸せに暮らしていると思っていたのに実際はその逆で、葬儀での自分の判断ミスを悔いて今度こそこの手で助けると心に誓った。

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