御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
親友の妹だからではない。それだけではここまで強い気持ちにならなかっただろう。

(惹かれている自覚がある。再会してから急に――じゃない気がする)

今になって思えばだが、葬儀の時から大人になった彼女に惹かれていたのではないか。

親友の死を悼む場で不謹慎な想いを抱いてはならないというストッパーが働き、あの時は気づかなかったのだ。

(航、俺が渚ちゃんを幸せにしてもいいか?)

彼女に再会した夜、亡き親友の夢を見た。

過去に実際にあった出来事の夢で、競泳選手としての引退を決意した宏斗の背中を航が叩いて励ましてくれた。

『お前にしかできないことが他にある。終わりじゃなくてここが始まりだ』

(俺の夢に航の意思が入ってくるわけじゃないのは百も承知だが)

夢に出てきてくれたことで、妹を頼むと言われたような気がしていた。

(まずは彼女を苦しめている原因を取り除かなければ)

繁史との話し合いの場を設ける予定でいる。

彼の勤務先の社長からのメールに冷たい視線を向けた。

制御システムのごく一部の開発を委託しているその会社には、数千万の支払いを契約している。

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