御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「なぜ尻込みしているのですか? 我々がするのは戦争ではなくビジネスで、勝つための勝負です。三日後の十時から二回目の会議を開きましょう。それまでにいい対策案を期待しています」

宏斗が先に席を立ち、会議室を出た。

巨額の資金が動く世界規模の市場で闘っているのだから、ほんの少しも甘えは許さない。

それは自分自身に対してもだ。

腕時計を見て歩調を速める。秘書が立て直した過密スケジュールは五分の余裕もない。

それを完璧に遂行しようとしていた。

次の社内会議は途中で退席し、来訪者の対応と電話ミーティング、マネジメントアドバイザーとの打ち合わせをこなしてスケジュールされていた午前のすべての業務を終わらせた。

時刻は十二時半で、これから執務室で二十分間の昼休憩を取る。

稟議書を確認しながら持参の弁当を出した。

二段の楕円形の弁当箱で、ふたを開けたとたんに豊かな色彩が目に飛び込んできた。

(きれいだな)

この弁当は渚の手作りだ。今朝の彼女との会話を振り返る――。

宏斗が七時に起きてリビングに入ると、エプロン姿の渚がダイニングテーブルとキッチンを往復していた。

< 45 / 222 >

この作品をシェア

pagetop