御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「二十五パーセントに関税を上げられるのは確実だと思って検討してください。店舗数は十分の一に。販売ではなくメンテナンスのために残します。工場の移転先は中南米で探してください。もっと適した移転先があれば意見を聞きます」

今からそこまで決めるのかと言いたげにざわつく会議室を宏斗が黙らせた。

「発言は挙手でお願いします。私が言いたいのは、具体的に動き出すことがこちらの交渉カードだということです。八州合わせて三万人の雇用を失えば大統領の支持者はどれほど減るでしょうか。困るのはどちらなのか、わからせてやるような強気な対策を立ててください」

社長が出席していたなら同じことを言うはずだ。

私生活もビジネスも常に強気な父の信念に、現状維持や様子見がないのは確かである。

その攻めの姿勢ごと受け継いで、この大企業をさらに大きくするのが宏斗の目標だ。

「非常に申し上げにくいのですが」

挙手をして恐る恐る発言するのは海外事業部の課長だ。

「アメリカ政府に挑んでも勝ち目はないと言いますか……」

弱気な意見に宏斗の声色が低くなる。

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